出席扱い制度【活用メリット・考え方】
文部科学省が令和元年に発表した「出席扱い制度」について、どのような制度で、どのようなメリットがあるのか、フリースクールを活用する皆様に分かり易く解説します。
「出席扱い制度」とは
子どもが不登校になる背景には、実に様々な要因や背景があります。その中には学校には通えないけれど、進学はしたい、勉強したいなどの意欲を持っている子どももいます。
「出席扱い制度」とは、文部科学省によって設定された制度で、フリースクールや自宅での学習を行うことで、通常の学校に出席したとみなすことができる制度です。この制度により、フリースクールや自宅学習をしている子どもたちも、学校に出席していることと同等の扱いを受けることが可能になります。
不登校になってもスムーズに学校復帰ができるよう、文部科学省が令和元年に発表した制度です。
実際のところ、日本の義務教育(小学校・中学校)は、出席せず、定期テストを受けていなくても、在籍さえしていれば原則として卒業できます。
では「出席扱い」にするメリットは何でしょうか?
「出席扱い制度」を利用するメリット
自己肯定感を保つ
学校に行けていないこと、他の人と違う過ごし方をしていることに対して、罪悪感や後ろめたさを感じてしまう子もいます。出席扱いになることで「やるべきことをやっている」ということが自信に繋がる可能性があります。また、「気持ちが楽になった」という子どももいます。
内申点をもらうことができる
2つめは、学校に行かず内申点をつけてもらうことができる点です。例えば、中学校で不登校になった子が、高校から学校に復帰したいと考えているときに、内申点があると役立ちます。希望の進路がある場合には、「出席扱い制度」を使ってフリースクールの利用日数を出席扱いにしてもらうメリットはあるかもしれません。
出席扱いが可能な要件(小中学校)
出席扱いと認められる要件は、大きく分けると2つあります。
保護者・学校・民間施設との間に、十分な連携・協力関係があること
文部科学省の”一定の要件”を満たすことが必要と言われていますが、細かい要件定義はされていません。
文部科学省は、出席扱い制度について「文部科学省から一律に基準を示すことはしておらず、学習の内容や時間を踏まえて学校長の判断で出席扱いとする(一部省略)」と公表しています。 つまり、出席扱いとなるかどうかには明確な基準はなく、1人ひとりの実態に合わせて判断されます。
子どもが不登校になる原因は様々ありますので、学校以外の居場所でどんな活動をしていくのか、出席扱いとする活動内容を報告・評価していく必要があります。通所なのか、自宅学習なのか、ICTを利用するのかなど、「どのような環境」で「何をするのか」を学校側に伝えて連携します。
詳細は文部科学省、「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」令和元年10月25日 に記載があります。
学校長の許可
出席扱いとする決裁権は、担任の先生ではなく「学校長(校長先生)」にあります。学校長によって考え方は違いますので「出席扱い」にする基準について、学校長との意思疎通が必須です。保護者・施設スタッフ・担任の先生・学校長と連携をとりつつ、出席扱いに相応しいかを判断していきます。
出席扱いまでの手順
出席扱いを受けるためには、以下のようなステップを踏み、制度の要件を満たすように学校・施設・保護者の連携をスタートさせます。
教育支援センター等の公的機関、フリースクール等の民間施設、ICT教材等による在宅学習など、お子様に合った施設やサービスを選びます。
「出席扱い制度」を活用したい時は、施設・サービスのスタッフに相談します。
出席扱いにしてほしいことを、担任の先生に相談します。施設・サービスのスタッフにも協力してもらいましょう。
校長先生を交えて、出席扱いの要件を確認します。決裁権は学校長にあります。
指導要録(「学籍に関する記録」や「指導に関する記録」)の記載や報告方法、報告頻度などを決めて連携します。活動内容が出席扱いにふさわしいかどうかを判断していきます。
出席扱いが必要なのか?一緒に考えてみましょう
出席扱い制度を利用する際に大切なことは、お子さんの気持ちを最優先にすることです。
「学校に言われたから」とか「子どもの将来が心配だから」といった理由で、お子さんの感情を無視して決めてはいけません。出席扱い申請をしたいのは、親御さんの希望なのか?お子様の希望なのか?しっかり考えてから判断をすることをお勧めします。
この記事を書いた人
本橋 悦子
・フリースクール ビリーバーズ板橋 運営
・心理カウンセラー
・アドラー心理学カウンセラー
・英会話教室の講師
・子ども発達障がい支援実務士
・二児の母